最近流行っているボルダリングって何?

2020年3月18日 12:04 am

Category:クライミングの知識/ボルダリング /  Write:ワルツ /  Tag: /

5メートルぐらいまでの岩を登るシンプルな登攀スタイル

簡単に言えば、低い岩を登るクライミングスタイルです。
クライミングといっても、様々な種類の一部としてボルダリングというクライミングスタイルが確立されています。
ボルダリングは、比較的安全な高さの岩に対して、己の肉体のみで向き合うクライミングの中では最もシンプルなスタイル(岩登り)です。
究極的言えば全ての道具から解放されており、何の道具も使わず取り組むことも可能です。

長いルートの一部分を練習するために生まれたボルダリング

ボルダリングのスタイルは、もともと確立されていたわけではなく、岩登りのトレーニングとして取り組まれていた行為でした。
そこに独自の理論が確立され今に至っています。
ロープを使ったクライミングに比べ、完登まで手数が極端に少ない分、ひとつひとつのムーブ(動作)の密度が濃く、アルパイン、マルチピッチやリードクライミングとは違った登りごたえがあります。

靴とマットとチョークだけで岩に立ち向かうボルダリング

マット使う派と使わない派

今では、ボルダリングマットの使用は当たり前となりつつありますが、マットがなかった時代は、墜落も登攀テクニックとされていました。
当初、危険な課題はトライされないか、トップローブで登攀されたりしていましたが、マットが利用し始められたことにより、高難易度の課題や下地が悪い課題が解決されてきました。

マットがあっても安全とは言い切れない

外岩でのボルダリングは、ジムほどの安全性は確保できません
マットの大きさは、大きくてもたたみ一畳程度で、厚さも10cm程度で、課題によっては、とても安全とは言い難い時もあります。
危険が伴う課題では、マットを何枚か重ねてトライされることが一般的になっています。

初登時のマット環境に準するのが、本来のボルダリングであると思われますが、この問題は物議を醸しだす論争となります。

ジムのマットほどは分厚くも大きくもない外岩用マット

初登者の登攀スタイル通りに登るのがセオリー

ボルダリングは、山の頂上に立つことを目的としたアルパインクライミングやマルチピッチとは違い、数手で課題が終わります。
とても短い課題だからこそ、登り方が非常に重要で、初登者の登り方を尊重した登りが求められます

トップローブで取り組みクリアした課題があって、次にボルダリングで完登した場合、後続のクライマーはトップローブで登っても完登にはなりません
また初登者が指定した使用不可ホールドがあると、それも使ってはいけません

トップローブで解決されたが、ボルダリングで解決されていない課題もある

ボルダリングの難易度

手数が少なく、ルートも短いボルダリングは、一手一手がそのグレードのクライマーにとっては難しく気が抜けません
高低差、数百メートルを超えるマルチピッチなどとは違い、ボルダリングは通常高くても5メートル程度ですが、スタートからゴールまで密度が濃いクライミングが楽しめます
高難易度の課題については、何年もかけて取り組まれ、世代が変わり解決されるものも珍しくありません。

世界の高難易度課題(Terranova 8C+/V16/六段)

ボルダリングの課題には、グレードという難易度が設定されています。
国によって主要なグレード表記が異なりますが、日本では段・級で表記されるのが一般的で、現在は6段が最高難易度です。
プロのクライマーでなくても、4段までのクライマーは増えてきましたが、4段以上登れる一般人クライマーはほとんどいません

高難易度のボルダリング課題については、世界の課題99個を紹介した99Bouldersというサイトがあります。

世界の最難ボルダリングを集めたサイト 99Boulders

ボルダリングの岩の高さ

マットがなかった時代に比べ、登れる岩は高くなったのですが、精々5メートルぐらいまでが一般的です。
ボルダリングジムでも、高さは5メートル以下で、それ以上はローブを付けたスポートクライミングの分野になるのが一般的です。

危険が伴うハイボルダー(通称ハイボル)

ボルダリングの中でも特に高い岩を登攀対象としたものをハイボルダー(ハイボル)と言います。
一般的に嫌厭される課題が多いですが、上部が簡単なものに至ってはトライされます。

動画の課題は、2009年にボルダリングで登られたアメリカ・ビショップのAmbrosia(V11)で、高さは」15メートルあります。

15メートルと言えば、通常ロープをつけて登りますが、これをボルダリングで登るとなると、相当の精神力が必要です。

ボルダリングに必要な道具

ボルダリングはシンプルなクライミングスタイルで、道具の種類でいえば一番少ないです。
ただし、マットが大きすぎて移動については、その他のクライミングスタイルと変わらないぐらいの荷物になります…

道具は少なく経済的なスタイル

クライミングジムならクライミングマットはいりませんので、初期投資2万円。
外岩でのボルダリングなら初期投資5万円と経済的なスポーツです。

  1. クライミングシューズ
  2. チョークバック
  3. チョーク
  4. クラッシュパッド(クライミングマット)

楽しみ方が色々のボルダリング

近年ボルダリングが人気ですが、人によって色んな楽しみ方ができます。

一人で岩に向き合う楽しさ

クリアできない課題と向き合い、一人で考えクリアする達成感は想像以上のものです。
挫折感を味わえば味わうほど、それは大きく、さらにクライミングにのめり込むことになります。

他のクライマーとセッション

一人のクライミングとは違い、多くのクライマーと登ることも楽しさの一つです。
岩場では、初めて会ったクライマーや普段ジムで一緒に登っているクライマーとのセッションは応援含めて充実します。

セッションだからこそクリアできる課題もある

ボルダリングってどこで始めればいいの?

知り合いに経験者がいない場合は、ボルダリングジムがお勧め

ボルダリングは、低い岩を登るスタイルですが、危険が伴う行為です。
クライミングジムでも同じことが言えますが、外岩よりは危険要素が排除されていますので、全くの初心者はボルダリングジムで体験するのがお勧めです。

ジムなら初心者体験コース(スタッフの指導)を設けているところもあるので、とりあえず体験したい人にはお勧めです。
ロープを使ったクライミングが出来るジムなら、ボルダリングとリードクライミングの両方を体験できるジムもあります

どんなに持ちにくいホールドでも両手でスタート

ボルダリングジムと外岩の違い

ボルダリングジムは、全て道具がレンタルできることが利点です。
またマットの厚さが30cm以上はありますので、比較的安全です。課題も豊富で快適です。

外岩はの利点は、何といってもロケーションの良さ、自然と一体になりながらクライミングできる充実感にあります。
また本物の岩を登る達成感は、ジムでは味わえないものです。
ボルダリングのグレードは、外岩の課題で得られるので、目指すグレードが達成できるのも外岩ならではです。

近年人気が急上昇中のボルダリング

東京オリンピックの正式種目に選ばれたこともあり、TVのCMなどでもチラホラ見かけるようになったボルダリング。
4年前には、クライミング人口は推定30万人程度でしたが、今や推定60万人に達し、全国でジムが増え続けています。
ヨーロッパに比べると日本ではまだまだマイナースポーツの域ですが、今後、老若男女クライミング人口はさらに増えると思われます。

日本のクライミングジムの数と愛好者数

日本でクライミングジムが初めてできたのは、1989年に大阪市で生まれたシティロックジム(OCS)です。
2009年末に全国で100軒程度でしたが、2010年から急激に増え始め14年末には300軒、2017年には500軒を超えています。

山と渓谷社が全国のクライミングジムの会員数からクライミング愛好家を60万人と算出したみたいですが、500件というジムの軒数を考えると定期的にクライミングをしているクライマーは5万人程度(外とジムクライマー合わせても)ではないでしょうか。
この数字だとまだまだマイナースポーツだと感じてしまいます。

クライミングジムの推移

Search

アーカイブ

タグ

人気の記事