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ホールドの良い持ち方と駄目な持ち方
ホールドの持ち方は、ムーブの一つの要素として非常に重要な項目です。
最適なホールドの持ち方ができるようになると、今まで困難だった課題がすんなり出来る可能性があります。
またフットワークや体の重心移動といった高度なムーブ要素に比べると、持ち方を変えるだけという比較的簡単な方法で、ムーブ改善につながるので、積極的に持ち方を変えてみるとよいでしょう。
最適な持ち方は、クライマーによって変わる
最適なホールドの持ち方は、全てのクライマーに共通するものでなく、各個人によって変わります。
ホールドの持ち感は、手の大きさ、指の長さ、ムーブの得意不得意によって変化します。 他人のモノマネではなく、自分なりの最適な持ち方を探る行為が非常に重要です。
ホールドを掴む方向
ホールドの持ち方は、掴む方向によっては、良くも悪くも変化します。
ホールドを掴む方向は、体の位置や重心によって決まるので、掴む方向を変えることは簡単ではありません。
ホールドの掴む方向を変えられない場合は、持ち方を最適化するしかありません。
ホールドの持ち方
ホールドの持ち方は、実にたくさんあります。
以下説明以外にも、持ち方の亜種やジャミングなどがあり、現場でクライミングすることで学ぶことができます。
クローズド クリンプ(カチ)
指の関節が大きく曲げられ、指先に非常に大きな力が込められる持ち方です。
この持ち方は、靭帯と関節に非常に大きな負担がかかるので、多用する場合は注意が必要です。
インカットしたホールドには有効な持ち方で、決まったときは、非常に安定した保持感が得られます。
しかし、できるだけオープン クリンプで保持したほうが故障が少なく安全です。
カチラーというクライマー
カチばかりで登るクライマーはカチラーと言われ、褒められているのか?貶されているのか?わからないものです。
オープン クリンプ(オープンハンド)
指の第二関節が90度以上で開き、ホールドに指をかける持ち方です。親指はホールドの形によっては、何も触れていないこともあります。比較的大きめで外傾したホールドに対して有効な持ち方ですが、指先に力が込めにくいので、極小ホールドには向かず、外傾したホールドには効果が高いのが特徴です。
第一関節への負荷は少なく、故障のリスクが少ない持ち方です。
オープンハンドが強くなると、ムーブのバリエーションに幅が出るので、より柔軟なクライミングができるようになります。
エクステンディッド クリンプ
エクステンディッド クリンプは指の第一関節のみが曲がった状態でホールドに指をひっかけます。
指の第二関節はほとんど曲がっておらず、指の関節に対して負担が少なく故障しにくいのが特徴ですが、腱が伸びきっているため、前腕の筋肉が硬いクライマーは故障する可能性もあります。
この持ち方になるケースは、ホールドが非常に悪いことが多いので、指の本数が少ない場合は注意したほうがよいでしょう。
ポケット
ホールドにあるポケット状の穴に指を入れて保持する持ち方です。
指の入る本数で、1本ポケット、2本ポケットなどと呼ばれます。2本ポケットの場合は、人差し指と中指を使うのが無難です。(薬指は故障しやすいため)
ポケットの大きさと深さによりますが、細くて深いポケットの保持は、指が発達していないクライマーは控えたほうがよいでしょう。
ポケットを多用する課題は、故障の原因となるので一日のトライ回数に気を配ったほうがよいでしょう。
外岩だと、石灰岩の岩場によく見られる形状のホールドです。
ピンチ
ホールドを親指とその他の指で挟み込む持ち方です。
まったく同じ状況なら握力が高いクライマーのほうが有利になります。
多くの場合、重心の移動によって持ち方がサイドプルに変化します。
ホールドの幅が広い場合は、ワイドピンチと言われ、保持がさらに難しくなりますが、指の長さによって大きく持ち感に差が出ます。
傾斜が強い壁のピンチホールドは、ヨレやすいので長時間保持するべきではありません。
パーミング
比較的大きめのホールドを手のひら全体でおさえこむ持ち方です。
手のひらの摩擦が重要になるので、ペタっとホールドに密着させると効果的です。
指以外の筋力が重要で、垂壁ではバランシーなムーブになりやすい持ち方です。
傾斜がある壁では振られ落ちしやすいので注意が必要です。
指で持つというよりは、体で持つホールドといった表現が似合う持ち方です。
ラップ
ラップは、ホールドを手全体で包み込むように持ちます。
うまく決まれば、かなりの保持感が得られ、指に負担が少なく体勢は楽になりやすい持ち方です。
ラップの持ち方は、外側からと内側からがあります。
傾斜がある壁では積極的に探りたい持ち方ですが、手首に負担がかかるため、注意が必要です。手首の負担が強く多用すると怪我する可能性が高い持ち方。
マッチ
マッチは、ひとつのホールドを両手で持ちます。
同じホールドを両手で持つので、上部へ登る場合は、バランスが悪くなりやすい持ち方です。
マッチした時は、ムーブが流動的でないので、腰など上手く使い、楽な体勢を探したほうがよいケースが多いでしょう。
極小ホールドのマッチは、指をずらしながらするのでピアノと呼ばれることもあります。
ガストン
肘を上げて親指が下向きになる持ち方です。ガストン・レビュファ(Gaston Rebuffat, 1921-1985)」がクラックの登攀で使ったムーブであり、彼の名前から名づけられました。片手での観音開きであり、肩周辺の力を酷使します。遠い位置にあるホールドをスタティックにとりたい場合などに有効な持ち方です。
アンダー
ホールドの開口部が上部を向いているホールドの持ち方です。
アンダーで保持したときは、腰より下にホールドがないと非常に辛い体勢になりますので、体を上げてから持ったほうがよいでしょう。
アンダーが効いた状態では、上部のホールドへ向かうとき、安定した体勢になりやすいです。
手首に負担がかかる持ち方ですので、注意が必要です。
プッシュ
ホールドを掴むという表現より、ホールドを押して腕を突っ張り棒のようにする持ち方です。
決まれば、比較的楽な体勢になれることが多いので、垂壁のような壁では積極的にプッシュムーブを探したほうが楽です。
引いてもだめなら押してみるという持ち方で、レストにも有効な持ち方です。
バランシーな課題に対しては、積極的に模索していきたい持ち方です。
観音開き
ガストンを両手で行うムーブです。
ほとんどの場合、ホールドが体の正面に来るので、辛く厳しい体勢になることが多い持ち方です。
体の重心をずらして、ガストンまたはサイドプルにしたほうが楽になれるケースが多い。
特に傾斜がある壁では、消耗が激しく厳しい持ち方です。
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元登山用品店の好日山荘。5歳で北アルプス表銀座に連れていかれた山好きの親の元で育った。
山とクライミングが好きすぎて、家にプライベートウォールがある。
現職はWEBデザイナーでJAPAN MENSA会員。