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世界的に見ても岩の種類が豊富な日本の岩場
様々な岩場に通うと、エリアごとに岩質が全然違うことに気づくはずです。
これは、クライミングジムでは決して体験できないことで、ホールドのフリクションからフットスタンスの難易度まで大きく違いがあります。
ある程度、岩の知識があると、全く知らないエリアに行ったときに必ず役に立ちますし、ずっと岩ばっかり触っているクライマーは少しだけでも岩のことを知っておくとよいでしょう。
岩石は大きく火成岩、堆積岩、変成岩の3種
岩石は大きく火成岩、堆積岩、変成岩の3種に分類できます。しかし、その境界は不明瞭です。
定量的に分類されていないので、岩石の分類は、あくまでも曖昧な分類になります。
クライマーの視点で見ると、岩質により岩の傾斜や形状、ホールドの癖みたいなものがありますので、あらかじめ知識として頭に入れておきましょう。
- 火成岩:マグマが冷えて固まってできた岩。
大きく分けて、火山岩(マグマが急激に冷えて固まったもの)と深成岩(マグマがゆっくり冷えて固まったもの)の2つに分類される。 - 堆積岩:岩石由来の粒子や、生物の死骸や、水中の化学物質などが積み重なった岩
火山灰が蓄積した砕屑岩と生物の死骸が蓄積した生物岩、その他化学変化による物質が堆積した化学的沈殿岩がある。 - 変成岩:既存の岩石が強い熱や圧力で変成した岩
マグマが固まってできた岩石「火成岩」
外岩クライマーなら必ず触ったことがあるぐらい多くあるマグマから形成された岩。
比較的粒子が細かい火山岩と粒子が粗い深成岩の2つに分類されます。
ほどよいフリクションの安山岩
安山岩は、マグマが地表で急速に固まった岩で国内では多く存在しています。
急速に固まったため、まるで溶岩のような形状をしています。
六角形の柱状節理を形成することが多く、柱の間はクラックとしてクライミングで利用されます。
主な岩場:静岡/城ヶ崎海岸、山形/三崎海岸、北海道/小樽赤岩など
ガビガビの花崗岩
結晶の大きさが均一でなく結合が不安定なため、表面が風化しやすい岩です。
結晶は粗くフリクションは良いですが、指皮の減りが早いので同じ課題ばかりしているとすぐ指に穴があきます。
実際登りこまれていないルートは、岩の表皮が不安定なのでホールドや支点は注意が必要です。
花崗岩は温度差の大きい所では粒子間の結合が弱まり崩壊します。
岩が濡れているからと言ってガスバーナーで炙る行為はルート破壊につながるので、厳禁です。
一般的にドーム状の岩峰を形成することが多く、スラブ~フェイス中心で、全傾斜は極まれです。
河沿いと山中では、同じ花崗岩でも受ける印象が変わります。
主な岩場:京都/笠置、岡山/王子ヶ岳、兵庫/北山公園、愛知/豊田など
堆積物が固まって堆積岩になった「堆積岩」
堆積岩(たいせきがん)は、火山岩とは違い、細かな粒子で構成されているので、ガビガビのフリクション感はありません。
指皮にやさしい岩場が多いですが、岩が割れたところはエッジがたつので、指に食い込むホールドもあります。
堆積するものにより、フリクション感や岩の形に特徴がでます。
日本では少ない岩場 砂岩
砂岩は字のごとく、砂が長期的に圧力を受けたり、水分がぬけることにより固結してできた岩石です。
海外では、硬質砂岩の岩場がありますが、国内では数は少なく、岩自体もろいものが多く注意が必要です。
国内では、漫画「孤高の人」でも取り上げられた鷹取山が有名です。
主な岩場:神奈川/鷹取山、札幌/石山、千葉/鋸山
国内では多く見られる凝灰岩
凝灰岩は、火山灰が堆積し続けてできたうす茶色の岩です。
ルートが引かれた岩場の多くは、硬質化した凝灰岩ですが、本来は柔らかめの岩なのでプロテクションは注意が必要です。
国内では、至る所に見られ、クライマーのほとんどが経験する岩場です。
主な岩場:兵庫/烏帽子岩、兵庫/不動岩、静岡/城山、愛知/鳳来
見ているだけで楽しくなる形状の石灰岩
他の岩に比べて特徴的な石灰岩は、前傾斜が多く、ジムのような形状が人気を見せる岩場です。
浸食によってできたホールドは多彩で、ポケットやコルネ、突起物などクライミングジム顔負けの多彩なホールドが楽しめます。
他の岩場に比べ、フィジカル+柔軟性が必要になりクライミングを始めたばかりのクライマーには少々に厳しい岩場になります。
岩の粒子が細かく、ツルツルしているので繊細なフットスタンスも要求されます。
主な岩場:兵庫/烏帽子岩、兵庫/不動岩、静岡/城山、愛知/鳳来
岩が造形物のように美しいチャート
堆積岩の中でも特にツルツルした感触が特徴で、岩自体は非常に硬質です。
ザラザラ、サラサラ感はないので、エッジを活かしたホールディングになります。
ツルツルしているので湿度が高い場合、チョークをつけていても表面が滑りやすいです。
エッジは、硬く鋭いので指を酷使するケースがあります。
主な岩場:北海道/赤岩青巌峡、東京都/御岳ボルダー
岩の特徴に合わせた登り方
岩の特徴を知るには、長い年月と経験が必要ですが、前もって知識があるとクライミングを岩に合わせた登り方ができるかもしれません。
いつも通っている岩場の岩質など調べることで、トライ中の課題が少しでも完登に近づくなら調べない手はないでしょう。
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元登山用品店の好日山荘。5歳で北アルプス表銀座に連れていかれた山好きの親の元で育った。
山とクライミングが好きすぎて、家にプライベートウォールがある。
現職はWEBデザイナーでJAPAN MENSA会員。