レスト中にクライミングが上手くなるレミニセンス効果

2020年3月12日 12:20 am

Category:クライミング/クライミングの知識 /  Write:ワルツ /  Tag: / /

レストにより無駄な動きを破棄し、ムーブの最適化を図ることができる

レミニセンス効果とは、活動していないオフ期間に、技術的に能力が向上する現象で、クライミングのようなテクニック主体のスポーツによくみられます。
オフ期間は、数ヶ月~数年にわたるケースもあり、スポーツ界で多くの事例があります。
クライミングにおいても、怪我を理由に長期レストを行った結果、レミニセンス効果が起きる可能性があります。

クライミングにおける不思議なレミニセンス効果

イギリスの伝説的クライマー、ジェリー・モファット(Jerry Moffatt)は、1985年の当時世界のトップクライマーとして君臨していましたが、重度の腱鞘炎を患い、クライミングを中断せざる得ない状況になりました。
その間オートバイに熱中し、クライミング界から引退したと思われました。

2年後の復帰なのに、以前より強くなっていたジェリー・モファット

2年間もクライミングから離れていたジェリーは、その後フランスのラ・ラージュ・ド・ウィーブル(5.14a)をレッドポイントします。
その一か月後、5.14ルートの3本を一週間で登ってしまったという、とんでもない事例があります。
まさにそれは、2年というオフ期間中にグレードアップしたようでもありました。

テクニック面を向上させる長期レスト

長期レストするとフィジカルは落ちますが、より洗練されたテクニックを再構築できる可能性があります。
これは、ムーブを習得するときに様々な体の部位に神経命令が伝えられるが、どうしても無駄な動きも含まれてしまうのです。
例えば、「ずっと無呼吸になる」、「墜落に備える」、「無駄に力む」など様々な動作が挙げられます。

無意味な動作はオフ期間中に脳が排除する

無駄な情報は睡眠により整理されるように、クライミングの命令回路を最適化するためにオフ期間をとることが必要となる場合があります。
オフ期間中に、習得したムーブの中で無駄な動きを排除し、ムーブがリモデルされるといわれています。

一種の恐怖観念である長期レストは、実は一石二鳥なのかもしれない

オフ期間は、グレード低下が予想されるので、大きな恐怖観念を持っているクライマーが多いように感じます。
オフ期間を取っても肉体的に失うものは思っているほど大きくなく、比較的早く取り戻せます。
私自身、指を骨折し、8ヶ月クライミングを休みましたが、完治してから1ヶ月ぐらいで元に戻っています。
骨折完治に加えTFCC損傷も治り、身体の怪我は全て完治しました。
さらにリードクライミングでは、自然とムーブが選択されるようになりました。

レミニセンス効果を最大限に発揮するには?

レミニセンス効果を最大限に発揮させるには、オフ期間中は全くクライミングを行わず、クライミングというものを一切忘れてしまうのでよいとされています。
ただし、活動的であるのが前提で、クライミング以外のスポーツで筋力とバランスを使うものなどが良いとされています。
クライマーがスラックラインを好んでするのも、重要な意味があるのかもしれません。

オフ期間が唯一、長期停滞(プラトー)を打ち破るかもしれない可能性

長期間、グレードが全く変わらないクライマーは多いと思います。
いわゆるプラトーですが、これを「レミニセンス効果」が打破してくれる可能性もあるわけです。
私の場合は、8ヶ月クライミングを辞めたことで、リードクライミングが依然と全く違う感覚で登れるようになった気がします。
ムーブの選択が自然になった気がし、以前なんでこんなルートで落ちていたのか?不思議に思うこともあります。
それは、筋力が増加したという理由ではなく、登り方が変わったとしか言いようがありません。

怪我によるレストは割り切って、レミニセンス効果を発揮しよう!

クライマーと怪我はセットのようなもので、クライミングを長く続けていると、どうしても長期的なレストが必要になる時期があります。
どうせ休むなら、クライミングのことは忘れて、バランス感覚や筋力を使う別のスポーツに取り組むとレミニセンス効果が最大限に発揮できるかもしれません。

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